Film 101プリプロダクション映像ハック

短編映画やコマーシャルを制作する前にプリプロダクションで必要となるドキュメントを見てみよう

映像制作に興味を持ち始めると、自分の映画を撮ってみたい!と思う方もいますよね。またある程度映像に関する技術を持ち始めてFacebookやTwitter、またはYouTube向けのコマーシャル制作を依頼されることもあると思います。

これまでキュリオシーンではそんな映画やコマーシャル制作といった映像制作のプロセスについて紹介したのち、全体的な演出を考えるディレクターとマネジメントを行うプロデューサーの違いについても触れてきました。

最近の映像制作は予算が小さくなっていくのと、撮影機材が安くなったり、少人数でも回せる環境になっていることから、ワンマンまたはプロデューサーとディレクターを兼用するプロダクションが増えていくものの、基本的に制作のワークフローは変わりません。

映像制作はクリエイティブな世界なので、アイディアさえあれば一つの作品が作れると思いがちですが、制作する前にプロジェクトの概要を決めて、スケジュールやタレント、ロケーションの調整、予算の確定等を行う必要があるので、ロジカルに考える必要があります。

通常の制作では演出等は全てディレクターが行いロジカルな部分についてはプロデユーサー、日本だとアシスタントディレクター(AD)またはプロダクションマネージャー(PM)が用意することがほとんどですが、これから映像制作を初めたい!と考えている方は覚えておいても損は無いと思うので、プロダクションでどういったドキュメントが使われるのか見ていきましょう。

ちなみに海外でのプロダクションと日本のプロダクションでのワークフローは同じであるものの、ドキュメントの書き方や名前が変わってきます。今回はそれも合わせて紹介します。

Creative Brief(企画書、構成書)

映画やコマーシャル、ミュージックビデオなどの映像を制作する場合、最初の段階では「なんとなくこんな感じ」、「こういったシーンを入れてみたい」といったフワフワしたイメージになっていることがほとんどだと思います。

クライアントや脚本家、他の制作クルーにもわかりやすく伝わるように、これらのフワフワとしたイメージをまとめ、ビジュアル化させる必要があります。以前投稿した「アイディアをコンセプトに変えよう!コマーシャルなどの映像制作をビジュアル化する方法」でも詳しく紹介しました。

海外では主にCreative Brief(クリエイティブ・ブリーフ)またはProject Game Plan(プロジェクトゲームプラン)と呼ばれ、日本などでは基本的に企画書、構成書という名称になっています。

映画製作であれば基本的に先程紹介した記事の中にあるやり方でまとめれば良いですが、コマーシャルなどでは映像のコンセプトの他、目的やテーマ、観客層、尺の長さ、ナレーションの有無や撮影と納品のスケジュール等を用意する必要があるので、 かなり細かいものになります。

これらの作業は基本的にディレクターまたはプロデューサーが行いますが、広告代理店が絡んでいる場合は代理店側が用意して、制作会社に回すという形がほとんどです。

Script(脚本、シナリオ)

こちらのドキュメントは基本的にディレクターまたは脚本家が用意することがほとんどです。

脚本では映画であれば冒頭からエンディングまで全て完成する必要があります。また海外と日本とでは脚本の書き方が違っているだけではなく、映画やテレビ、コマーシャルなど映像のカテゴリーによってフォーマットが変わってきます。

シナリオ(Scenario)とも呼ばれますが、セリフや演技の内容が書いてある数十ページに及ぶ脚本と違って、演出やナレーションなどを含めたざっくりとした内容を書いたものがシナリオです。主にTV番組やコマーシャルに使われることがほとんどです。

ミュージックビデオまたはコマーシャルの制作によっては脚本の手順をスキップして絵コンテを用意する場合もあります。

Storyboard(絵コンテ)

脚本は企画書などに比べるとかなりディーテールのあるものになっているので、これさえあれば制作に取りかかれそうですが、アングルやショット、カメラワークといったビジュアルの部分は書いていないので、よりビジュアル化した絵コンテが必要になってきます。

またコマーシャルなどクライアントがいる場合のプロジェクトでは制作側とクライアント側のイメージが同じになるよう、重要なツールでもあります。

「絵」と書いてあるので、絵が描けない人はどうするの・・?と思いがちですが、絵ではなくストックフォトを使用する事もできます。またプロジェクトによっては絵や写真も使わず、文字だけで作る「字コンテ」もありますが、制作クルーやクライアントとのイメージがある程度マッチするように最低限写真を用意することをオススメします。

Shotlist(構成表)

絵コンテはしっかりとビジュアル化されているのでとても便利なツールではあるものの、場合によっては脚本の数倍のページ数になってしまう場合があるので、スケジュールを管理するADやPMにとっては荷物になる場合があります。

そんな絵コンテを文字化したものがShotlist(ショットリスト)というもの。脚本や絵コンテのようにシーンごとで別けながら、そのシーンで必要なショットをがリスト化されているドキュメントです。

撮影監督やディレクターは「どのように撮る」のが重要に対して、プロデューサーやADなどロジカルな部分を考える必要があるクルーに関しては限られた時間の中で「何を撮るのか」が必要になってくるので、制作には欠かせないものの一つになります。

日本では少しフォーマットが違いますが、似たものとして構成表というものがあります。構成表では映像の内容、ショットなどが書いてある他、撮影日などのスケジュールが記載されていることもあります。プロダクションによっては絵コンテと同様になる場合もあるので、構成表はあえて用意せず、絵コンテと香盤表のみ作成することもあります。

Call sheet(香盤表)

通常、プロダクションでは多くのスタッフやタレントが関わる事がほとんどです。

少人数であれば口頭で伝えたり、LINEなどのメッセンジャーアプリで共有すれば良いと思いますが、タレントのスケジュールがバラバラで合ったり、複数のロケーションを移動、または必要な小道具などの指示を出す場合、個別に伝えるという事になるとかなり面倒になってしまうので、その日のスケジュールなどをまとめたドキュメントがあると理想的です。

海外におけるプロダクションではCall sheet(コールシート)というものが存在しており、そちらにはクルーやタレントの一覧、連絡先、撮影スケジュールや小道具、衣装など指定された撮影日に必要なものが全て記載されています。

日本では香盤表として一般的に知られており、コールシートとほぼ同様なものです。香盤表またはコールシートのフォーマットは所属している制作会社などによって変わってきますが、基本的に内容はどれも同じになっていると思います。

 

この他にもロケーションやタレントと結ぶ契約書などといった他のドキュメントもありますが、プリプロダクションの段階では今回紹介した上記ドキュメントがある程度揃っていれば撮影に挑めると思います!

海外プロダクションと日本プロダクションのフォーマットはそれぞれ違いますが、各ドキュメントの作り方に関しても機会があれば詳しく紹介していきたいと思いますので、ぜひチェックしてみてくださいね!

(MIKIO)

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こちらの記事はクリエイティブ・コモンズ 4.0 CC-BYライセンスの元公開されています。詳細

MIKIO

小学生の頃に映画製作に興味を持ち始め、中学生の時に部活のメンバーと自主映画を初めて制作。その後フィリピンに留学し、映画専門学校を卒業後、撮影や編集などのフリーランサーを経て、マルチメディア制作会社DreamLine Productionsを立ち上げる。 自分も持っている知識のほか、勉強やメモ代わりに制作などのチュートリアルを投稿していきます。

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