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著作権フリー、ロイヤリティーフリーってなんだ?基本的な考え方とプロジェクトに使用する際の注意点

映像制作やグラフィック、その他ウェブサイトなどで写真や音楽(BGM)、イラスト、動画など他人の作品を自分の作品に含める際に「著作権フリー」や「ロイヤリティーフリー」といった単語を耳にすると思います。

この2つは似ているようで実は全く異なるもの。Wikipediaなどを読んでみたけれど、よくわからない・・という方のために、こちらの記事では著作権フリーとロイヤリティーフリーの基本的な概要と、これらの素材や作品を自分のプロジェクトなどに導入する際の注意点などを紹介していきます。

著作権フリーとは?

著作権フリーは別名パブリックドメイン(Public domain)とも呼ばれるもので、著作物の著作権が一定の年数が経ったものや作者が亡くなり、著作権を承継する人が居ない場合、その作品の著作権が消滅したものを指します。

ざっくりとしたイメージでは作品が登場してから70年から100年経ったものが多く、1950年代以前に作られたクラシック映画や音楽などを指す場合もあるものの、必ずしも著作権フリーになっているわけではありません。

作品が初めて登場してから年数がかなり経っていたとしても、作者の遺族や会社などの組織が著作権を承継している事も多いほか、各国の法律などによっても著作権の概念が変わってくるので、「かなり古いものだから、著作権フリー」という事ではないので注意は必要です。

ウェブサイトによっては「著作権フリー」と謳っている作品もあったりしますが、著作権の保護期間をより長くする法改正が行われていたりと一見著作権フリーに見えていても実は承継している著作権者がいたりするなど、なかなか複雑です。

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日本では通常の場合は作者が亡くなってから70年経てば著作権が消滅するので、70年前のものであれば大丈夫と思っていても、アメリカは95年とより長くアメリカでは著作権が切れていないケースというのもあったりします。

そのため、例えば75年以上経ったアメリカ映画の素材をYouTube向けに動画を作成しアップロードしたとします。日本では問題無さそうに見えても、YouTubeの運営はアメリカにあるのでアップロードした後にYouTubeから著作権の警告が表示されるケースも場合にあります。

アメリカではニュースや教育を目的としたものであれば、著作権の侵害にはあたらない「フェアユース(Fair use)」というものがありますが、これも線引が難しかったりするので、著作権フリーの素材はしっかり裏取りを取らない限り、トラブルを避けるために使用しないのが良いと思います。

ロイヤリティーフリー

著作権のある作品、著作権フリー(パブリックドメイン)となっている作品の間には「ロイヤリティーフリー(Royalty free)」というものもあります。

ロイヤリティーフリーとは作品の利用料である「ロイヤリティ」を作者に支払えば自由に使えるというのが一般的な考えです。ただし、著作権は作者に帰属しており、限られた範囲(ライセンス)の中で使用する形となります。

ロイヤリティーフリー音楽や写真、映像などのコンテンツは日本国内外を含む数多くのサービスが適用しており、単品で購入するものや定額制でほぼ無制限で利用できるものもあるなど、様々な種類があります。

このロイヤリティーフリーの一番のメリットは柔軟性の高さにあります。通常、著作物を利用する際は作者に連絡を取り、著作権料を決めて支払うというプロセスとなりますが、ロイヤリティーフリー素材を提供しているウェブサイトなどの事業者はユーザーと作者の間に料金やライセンスといったルールを定めていることで、シームレスに素材を利用できます。

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音楽やストックフォトなど用途に合わせたサービスが多くあり、利用目的に合わせた素材を入手できるものの、サービスによってライセンスや料金が異なるほか、商用案件の場合だと、少し著作権が複雑になる可能性もあるので注意が必要です。

企業向けの紹介動画を例にしてみると、自分のカメラで撮影されたクリップを使って編集し、BGMはロイヤリティーフリー音楽を使ったとします。映像作品の著作権は制作者または著作権を譲渡したクライアントにあるものの、BGMの著作権は消滅しているわけではないので、制作した映像作品以外で同じロイヤリティーフリーの音楽を利用することは出来ません。

納品後にクライアントが音楽を含むロゴアニメーション部分を切り取り、別の映像に組み込んだり、ライセンスで複製の回数が決められているのにも関わらず、限度以上の複製を行うなどをした場合は規約違反となるので、注意する必要があります。

もちろん、追加ライセンスなどを購入することでこれらの問題を対処することもできますが、そのような可能性を見越してプロジェクトがスタートする前にクライアントにロイヤリティーフリー素材を使用する事を伝えたり、複製や利用の範囲に制限があるということを契約書に明記することもおすすめします。

クリエイティブ・コモンズやその他のサービス

著作権フリーやロイヤリティーフリーとはまた別枠としてクリエイティブ・コモンズ(Creative Commons)Unsplashといったライセンスやサービスがあったりします。

Creative Commonsという国際的非営利団体がすすめているクリエイティブ・コモンズ・ライセンスはパブリックドメイン(著作権フリー)と著作権が発生する中間を担うライセンスで、「クレジット(作者表記)をすれば商用可能」など非常にわかりやすくなっているのが特徴です。

様々なストックフォトを提供しているUnsplashの場合もクリエイティブ・コモンズに似たようなものですが、こちらはより自由度が高く「クレジットがあれば最適だが、表記なしでも商用可能」となっており、商用に使用したり素材を加工することができます。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスやUnsplashの素材は無料で使えることも多く、制作費を抑えたい場合などには便利ではあるものの、正しくクレジットしなかったり、作者またはサイトには特定の条件では利用不可の規約が記載されていることもあるので、しっかり確認しておくことをおすすめします。

映像制作やウェブサイトを作成する際、もちろん自分で使う素材を用意するのが一番理想ですが、技術的に難しかったり、時間や予算的な問題がある場合はロイヤリティーフリー素材を利用するのがベストです。

筆者的には著作権フリーと書いてあっても諸々のリスクを考え、商用・個人案件のプロジェクトの場合はライセンスなどを確認した上で基本的にロイヤリティーフリー素材を使用するのが良いと思います。

(MIKIO)

Photos: Oliver Guhr, Joanna Kosinska, Jace & Afsoon, Bank Phrom, Yomex Owo, Jakob Owens(2), Umberto, charlesdeluvio, Scott Graham, Dim Hou

MIKIO

小学生から映像制作に興味を持ち、15歳の頃に部活のメンバーと自主映画を制作。後にフィリピン、セブ島に移って現地や海外の企業向けにTVCM、VPといったコマーシャル制作を提供。現在は帰国し、福岡で映像制作などをしています。主に撮影や編集を得意ですが、案件によってはディレクターやプロデューサー行うこともあります。

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