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ドキュメンタリーを作ろう!製作前に覚えておきたいドキュメンタリーの7つのこと

ドキュメンタリー(Documentary Film)は映画と同じように人気のある映像作品の一つ。

これまでに数多くの歴史的出来事や社会的問題をテーマにしたドキュメンタリーはテレビや映画館で公開されているので、観た事がある方はほとんどいると思います。

記録映画とも言われるドキュメンタリーはありのままを伝えている事から、リアルな感じを見せれるメリットがあります。

しかし、フィクションを題材にした映画に比べると撮影方法や演出が変わってくる上に、内容によっては問題を喚起する事になるので、ドキュメンタリーを初めて作りたいという方には難しく感じてしまいますよね。

一見大変そうに見えるドキュメンタリーですが、よく観察してみると「三幕構成」が使われていたり、「テーマ」があったりと、物語を伝える基本的なルールは映画や小説などと同じだったりするものです。

今回はそんなドキュメンタリーを作ってみたい!という方に覚えておくと良い7つの事を紹介したいと思います。これだけ覚えたらドキュメンタリーも簡単に作れちゃいますよ!

1 . トピックは身近なものにしよう

ドキュメンタリーの軸となるトピックまたはテーマは身近なもの、または興味のあるものを選ぶのがベストでしょう。

製作する本人が理解できないトピックを選んでしまうと、ドキュメンタリーを見る側も「何が伝えたいのか?」が分からなくなってしまうから。

自分の周りに起きていることや一番興味のある内容であればドキュメンタリーの全体像をイメージしやすくなります。わからないことは追加で調べたり、インタビューを行うと良いでしょう。

身近なトピックを選ぶことで製作中のモチベーションを下げないためというのも一つの理由です。興味が無いものだと、いくら調べたりインタビューをしても製作する本人は楽しません。

そのため、「作ったら面白いかも?」と思えるような内容をにするのがベストです。

1人の人物にフォーカスを当てたり、近年起きた出来事や印象的な商品など、規模が小さいものでも面白いストーリーが出来上がると思います。このプロセスはドキュメンタリー製作には一番欠かせない部分なので、迷っている方はいくつか候補を挙げてみると良いでしょう。

下は筆者が考えたドキュメンタリーのトピックの一例です。こちらの記事ではこのトピックをベースに様々な例を紹介していきます。

トピックの例:

某国で十分な教育を受けられない子供が多いのはなぜなのか?

2. ドキュメンタリーに目標を決め、共感を得られるようにする

上で紹介したトピックを例にしてみると一見良さそうなドキュメンタリーになりそうですが、このままだと伝える内容が多くなってしまい、視聴者が困惑してしまいます。

そのため、「トピックの中でも一番何を伝えたいか?」というドキュメンタリーの目標や主役を作りましょう。

先ほどの例を使ってみると、「学校に通えない子供」や「低賃金で働く教員」、「貧困層の家族」、「教育システムがしっかりしていない政府」など、一つのトピックでも様々な視点にフォーカスを与える事ができるのが分かると思います。

この中で一番伝えたいものに目標を定める事によって、より視聴者の共感も得られるので、重要なポイントになります。

目標と主役の例:

某国の貧困層に暮らす少年は将来、科学者になりたいが、十分な教育を受けられずにいた。政府の援助が受けられないために、少年は諦める事になってしまう。

3. 極力公平性を保とう

ドキュメンタリーは映画と同じようにアート作品です。そのため、同じドキュメンタリーでも決められたルールというものはなく、実験的だったり、挑発的なものだったりと様々な種類があります。

しかし、ドキュメンタリーを正確に伝えるためには偏った意見のワンサイドではなく、反対意見も極力取り入れて公平性を保つのがベストです。

物語に悪役を作る事は視聴者に共感を得られやすいですが、別サイドの意見を取り込む事で「こういう意見もあるんだな」と視聴者に考えさせる事ができます。

よほど挑発的なドキュメンタリーを作りたいのであれば、ワンサイドでも良いですが、両意見を取り入れる事でニュートラルなドキュメンタリーが作れるだけではなく、「他にこういう事ができるのかも?」のような、新しい意見を与えることができます。

公平性を保った例:

A) 教育を受けられない少年は政府の援助がおりない

B) そもそも少年の戸籍が登録されていないので、援助ができない

A) 貧困層は学費を無料にすべきである

B) 現段階では不可能だが、法案として通す予定である

4. なんとなくでも良いので、構成を考えておこう

ドキュメンタリーの難しいところは脚本が必要な映画と違って、正確にストーリーが作れません。これはインタビューの内容や調べた情報、状況が変わったりと様々な要因が出てくるため。

編集するまで何が起きるかわからないドキュメンタリーですが、なんとなくでも良いので、ドキュメンタリーの構成を考えておくことをオススメします。構成を予め考えることで撮影をスムーズに行えるメリットがあります。

再現映像が必要なのか、誰にインタビューをするのかなど箇所書きのような形でも良いので、全体的なイメージをまとめておきましょう。

構成の例:

将来の夢を語る少年→ナレーションで教育の問題を紹介→某国教育庁でのインタビュー→国が考える貧困層への解決策→貧困層が抱える問題点→この国があるべき姿とは?

5.インタビューに沿って物語を作る

ドキュメンタリーでインタビュー映像を多く使う場合はその素材を上手く利用して物語を作っていくのもオススメです。

この方法は多くのドキュメンタリーで使われる演出の一つで、複数のインタビューを組み合わせて一つの内容について語ってもらったり、再現映像やBロールといったランダムなショットを組み合わせていきます。

インタビューを受けている人達をドキュメンタリーの主役にすることで、視聴者からの共感を得られるだけではなく、客観的に作り上げる事ができるというのも一つのメリットです。

ナレーションメインのものであったり、製作者が主役になる反映型のドキュメンタリーを作りたいのであれば、このような演出を無視する事も出来ます。

演出の例:

(インタビュー映像)

少年: 将来は科学者になりたいんだけれど、学校に行けなくて・・

少年の母: 何回も政府に援助の要請を出しているのですが、一方的に断れています。

政府関係者: このような問題があるという事は把握しています。しかし・・

6.三幕構成を意識して作ろう

物語の面白さを左右する三幕構成(Three Act Structure)は映画で多く利用される方法の一つで「設定」、「対立」、「解決」の3つの構成を使って物語を作っていきます。

実はこの三幕構成をドキュメンタリーに組み込む事が可能になっており、より作品に面白味を出したいという方は三幕構成を意識すると良いでしょう。

三幕構成は本来、脚本を作る時に考える要素なのですが、基本的に脚本のないドキュメンタリーでは編集時に組み込まれる事が多いです。

ただ映画のように複雑なインサイト・インシデントやプロットポイントを考える必要はなく、シンプルに「設定」の第一幕では「主役や目標の紹介」、「対立」の第二幕では「各サイドの問題点」を紹介し、最後の「解決」である第三幕ではその名の通り、その問題の解決を紹介するのがベストです。

三幕構成の例:

(1) 貧困エリアで暮らす少年は科学者になりたいが、学校に行けない。少年の母親を含む人々は政府が元凶だと訴える。

(2) 確かに政府は十分に教育を支援できないというのは認めつつも、戸籍を登録していない子供や支援を行いたくても、学校を建てるのに反対している市民がいるため、難しいのだ。貧困エリアでは政府関係者からハラスメントを受けていることから、反感を持っているようだ。

(3) 政府としては出来る事はやっており、今後も色々なプログラムを行う予定である。少年はプログラムの一つである講師派遣によって勉強ができるようになると嬉しく語ってくれた。

7. とにかく素材を多く用意しておこう

ドキュメンタリーは紹介する正確な情報やインタビューなど必要な素材が多いですが、再現映像や木漏れ日、風景、タイムラプスなどといった数多くのBロールを用意しておきましょう。

撮影中は一見十分だと思えても、編集時に素材が足りないという事があったりするので、撮影できるものは極力撮っておくようにしておきましょう。

素材の例:

少年が暗い家の中で勉強している様子、白衣を着て科学者のような遊びをしている、貧困エリアの様子・・など

ドキュメンタリー製作は難しいように見えますが、今回紹介した7つのことを上手く取り入れると、良い感じのドキュメンタリーを作り上げる事が出来ると思います。

キュリオシーンでは他にもドキュメンタリーの種類製作方法なども別の記事で紹介しているので、気になる方は合わせてチェックしてみてくださいね!

(MIKIO)

Photos: Vanilla Bear Films, KAL VISUALS(2), Glenn Carstens-Peters, Bill Oxford, Jamie Street, lomash shiwakoti, Jackson Hayes, Jakob Owens(2,3), Jude Beck

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こちらの記事はクリエイティブ・コモンズ 4.0 CC-BYライセンスの元公開されています。詳細

MIKIO

小学生から映像制作に興味を持ち、15歳の頃に部活のメンバーと自主映画を制作。後にフィリピン、セブ島に移って現地や海外の企業向けにTVCM、VPといったコマーシャル制作を提供。主に撮影や編集を得意としているほか、ディレクターやプロデューサーなども出来ます。

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