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物語をさらに面白いものにしてみよう!ストーリーを引き立たせる三幕構成(Three Act Sturcture)の基本

これからインデペンデント映画や漫画、小説などを作りたいと考えている方は、どこからスタートするべきか迷ってしまいますよね。

以前、こちらのサイトではインスピレーションを取れる方法やストーリーの基本について紹介してきているので、なんとなくイメージが付くかもしれませんが、この他にも色々な要素を自分の作品に組み込むことで更に物語を引き立たせることが出来ます。

ヒューマンドラマや恋愛もの、サスペンスやSFなど数多くのジャンルやストーリーがこの世界にありますが、それらのストーリーの本質を探ってみると実は三幕構成(Three Act Sturcture)というパターンに従って作られているストーリーが多いということはご存知だったでしょか?

キュリシーンでは「ショートフィルムや長編の脚本を書こう!ストーリー開発とその基本とは?」の記事にてストーリーを開発する方法を紹介しましたが、その中で今回紹介する三幕構成についてチラッと説明しました。

ストーリーは基本的に誰にでも自由に作れるためルールとかは無いのですが、三幕構成は「物語を面白く出来る要素」であり、観客がストーリーの展開を分かりやすく、さらに主人公に感情移入しやすくするためのツールと言えます。

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日本では起承転結序破急の構成がありますが、これも似たようなもの。正確には起承転結を3分割し、さらに細かい設定を加えたものが三幕構成となるのです。

三幕構成ではその名の通り3つの幕で分けることになります。最初の幕である第一幕(First Act)では主人公のキャラクターや周りのロケーション、時代などの設定(Settings)部分となり、次の第二幕(Second Act)では主人公と敵対する敵役や自分の感情などの対立(Confliction)、そして最後の第三幕(Third Act)では第二幕で対立していた事への解決(Resolution)となります。

ベースはその3つとなりますが、それぞれの幕にもまた小さな幕を入れることでよりストーリーを引き立てる必要があります。今ここで説明するとわかりにくいかもしれませんので、比較用に3幕構成を無視したストーリーと取り入れた簡単なストーリーを見てみましょう。

[無視したストーリー]

ユウジは借金で一文無しだったが、カジノで勝ってお金を儲けることが出来た。

上のストーリーだとお金の無かった主人公がお金持ちになったという事は分かるのですが、全く面白味が感じられませんよね。そこでひとまず三幕を付け加えてみた結果がこちら。

[三幕構成を付け足したストーリー]

(1)ユウジは騙されて作ってしまった借金を少しでも返そうとカジノに通っていた所、借金を作らせた張本人のカトウが現れる。(2)ユウジはカトウと対決し負け続けるが、そのイカサマを発見する事が出来たことで、(3)復讐と借金返済をなし遂げる。

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無視したストーリーと比べると、もう少し面白くなったとは思いませんか?

文章中にある番号はそれぞれの幕の部分になります。一幕ではユウジが借金を欠かてていてカジノに通っている、二幕では借金を作らせたのがカトウだと分かる、そして負け続けるもののイカサマを見つける、三幕はその結果に復讐と借金返済を完了させる。ということが分かると思います。

ハリウッド映画などの脚本はA4紙1ページが1分と換算されるため、100分の映画であれば約100ページにもなります。これだけ聞くと書く気が失せてしまいそうですが、1:2:1の比率で作るように考えると良いでしょう。

1:2:1の比率というのは脚本の最初から最後までを1%から100%と考えると、第一幕が最初の25%、第二幕が50%、そして三幕が25%というバランスで物語を作る必要があります。100ページの脚本に換算すると、1-25ページ、26-75ページ、76-100ページのイメージで書いていくとベストです。

なぜ第二幕が一番長いの?と思ってしまいますが、実はこの幕の中に前半と後半に分ける事でストーリーを更に面白く、盛り上げることが出来るようになるからです。

先程三幕を1:2:1の比率で分けると説明しましたが、正確には1(一):1(二前):1(二後):1(三)という組み合わせになります。第二幕の前半では主人公が抱える問題や敵に克服しつつあるものの、第二幕後半に入る前に主人公には更に大きなトラブルに見舞われます。そしてそれを解決するため第三幕に入るといった感じです。

先程のショートストーリーに第二幕の前半、後半を含めるとこのような感じになります。

(1)ユウジは騙されて作ってしまった借金を少しでも返そうとカジノに通っていた所、借金を作らせた張本人のカトウが現れ、その場で一戦を交えた結果負けてしまう。

(2前)その様子見ていたチサトは落ち込んでいるユウジに声をかけて仲良くなり意気投合する。カトウとまた一戦を交えることになって自信満々で望んでいたが、カトウからチサトは仲間の一員だと暴露し、ユウジを弄んでいた事を知る。

(2後)何もかも失ってしまったユウジはとあるキッカケでずっと負け続けていたギャンブルに勝つ方法を見つける。

(3)カトウのイカサマをユウジが見つけ、一発逆転になって復讐を果たす。チサトはカトウによって脅されていたと話し、二人は和解し仲良くなった。

第二幕の前半後半を入れることで更にストーリーの面白さが出てきたとは思いませんか?

三幕構成を考えながら、ストーリーの流れに波を作ることも重要です。ストーリーを面白くさせるには何の取り柄もない0%だった主人公が、あるキッカケで60%まで頑張るものの、途中起きるトラブルで-60%まで落ちて、それからまた頑張って100%にたどり着く様なアップダウンのある感じで作っていくと面白くなりますよ!

これから脚本を書こうとする方は書く前にそれぞれの幕に何が起こるのかをイメージしたり、各幕で起こるシーンを先に書いてから細かい部分を詰めていくと書きやすく感じられると思いますよ!

三幕構成の中には更に細かい要素が出てきますが、また次回の機会にて紹介したいと思います。もちろん三幕構成を無視したり、幕を更に増やしたりすることも出来るため、色々アレンジしてみてストーリーを書いていくと良いでしょう。

 

(MIKIO)

Photos: Lauren Mancke,Dung Anh,Chris Leggat

MIKIO

小学生から映像制作に興味を持ち、15歳の頃に部活のメンバーと自主映画を制作。後にフィリピン、セブ島に移って現地や海外の企業向けにTVCM、VPといったコマーシャル制作を提供。現在は帰国し、福岡で映像制作などをしています。主に撮影や編集を得意ですが、案件によってはディレクターやプロデューサー行うこともあります。

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