プリプロダクション映像ハック

よりスムーズにスケジュールを作成するために考慮すべき7つのこと

映像制作はロケーションやキャストの多さ、使用する機材などによって撮影日数が左右されます。

脚本のページ順に沿って撮影していくというのも不可能ではありませんが、同じロケーションなどが被ってくると、行ったり来たりしてしまうため、まとめて撮影できると理想的ですよね。

プロダクションのスケジュールを組む方法は色々ありますが、キュリオシーンでは脚本が完成した段階で、カメラに写る全ての物をリスト化する「スクリプトブレイクダウン(Script Breakdown)」というプロセスを紹介しました。

スクリプトブレイクダウンは主にプロデューサーが用意するドキュメントの一つで、脚本の各シーンに登場するキャラクターや小道具、衣装などが細かくリスト化するものです。

これをリスト化することで、どのシーンに何が必要なのかが簡単に確認でき、後のスケジュール作成で大いに役に立ちます。

通常、スクリプトブレイクダウンを作成した後にロケーションごとまたは登場人物ごとに振り分けて、全体のスケジュールを作成します。

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その後は撮影日ごとのスケジュールを組み、香盤表を作成して撮影に挑むのです。

非常にシンプルなプロセスになりますが、撮影当日の動きや起こり得るトラブルなどをある程度予想する必要があります。

ただ、経験に基づいて作成される事もあるので、初めて撮影スケジュールを組み方は難しく感じるかもしれません。

今回の記事ではコマーシャルや短編映画などのスケジュールをスムーズに組めるように、考慮したい7つのことを詳しく紹介したいと思います。

1. 脚本はリスト化しておこう

先ほどもチラッと紹介しましたが、カメラに写るキャラクターや小道具、衣装などは各シーンごとにリスト化することをオススメします。

脚本を精査しながら、スプレッドシートにまとめるのも良いし、スクリプトブレイクダウンのようなフォーマットを使用するのもアリだと思います。

コマーシャルなどシーンが少ないプロジェクトに関しては、1ページに簡単にまとめるイメージで問題ないでしょう。

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2. 登場人物よりもロケーションで分けるのがオススメ

各シーンをリスト化したら、ロケーションごとに分けるようにしましょう。

登場人物ごとに分けると、登場するシーンが多くなり、振り分けが難しい場合があるので、「家」、「公園」、「学校」のようにロケーションで分けるのがオススメです。

ロケーションで分けたら昼夜、そして登場人物に分けることができるので、スムーズにスケジュール作りができるようになると思います。

3.リハーサルを通して撮影時間を予想する

撮影日数が増えるとその分のコストもかかってしまうので、なるべく短い期間で撮影するのが理想ですが、どのくらい掛かるか予想はつかないものです。

しかし、一度キャストとプロジェクトのリハーサルを行なうと一つのシーンを演じるのにどの位掛かるのかをイメージ出来ると思うので、撮影前にリハーサルを行う事をオススメします。

仮に一つのシーンが10分掛かるとして、一つのカメラで3つのアングルで同じように撮影したい場合はそれを掛ける3えをすると、1シーンの撮影に30分程度かかるのが分かります。

ちなみにこの時間は演技部分のみなので、機材のセットアップやメイク時間なども合わせて考慮する必要があります。

4.一日の撮影時間をもとに撮影日数を作成する

一つのシーンはセットアップ含めて1時間で撮影できる場合、その撮影時間を参考に撮影日数を作成すると良いでしょう。

仮にシーンが10個あり、各日の集合時間を8時、ランチを12時、撮影終了を17時というベーススケジュールを作成したとします。

その場合は午前中の予定では8-9時は「移動」、9:00-9:30は「セットアップ」、9:30-10:30「撮影 シーン1」、10:30-11:30「撮影 シーン2」、12:00に「ランチ」のようなスケジュールが作れます。

上と同じような感覚で午後のスケジュールを作成した場合、13時スタートで17時までには3-4シーンは撮影できるので、そこから日数を算出すると10シーンを2日程度で撮影できると思います。

移動時間やセットアップが意外に時間がかかったりするので、スケジュールを組む際は極力同じロケーションでより多くのシーンを撮影して、別のロケーションに挑むと良いでしょう。

また、上の例はあくまで仮説になるので、リハーサルなどを通してシーンに掛かるおおよその時間をイメージしておきましょう。

5.時間に余裕を持ち予備日、休日も作る

無駄なコストを出さないために少ない日数で撮影するのが一番の理想ですが、スケジュールに余裕を持つようにする必要があります。

1時間で撮影できると考えても、セットアップに時間がかかるなど予想外のトラブルに巻き込まれる場合もあるので、15-30分追加して「1つのシーン、1時間半」のようにするのも良いと思います。

また天候やキャスト、クルーの事情で撮影がキャンセルされる事もあるかもしれないので、3日で撮影が完了する場合であっても、1-2日の予備日は設定しておくことをオススメします。

撮影日数が1週間以上ある場合は、休日を設けるというのも重要です。

撮影にスケジュールのプレッシャーを与えてしまうと、関わる人々皆の士気が下がってしまうので、余裕のあるスケジュールにしましょう。

6.特殊機材や特殊メイクがある場合は2倍の時間をかける

クレーンやドリーといった特殊機材特殊メイクが必要な場合は、セットアップなどにかなり時間がかかる場合があります。

通常のシーンで1時間撮影できる場合は、特殊メイクまたは特殊機材を使用する場合はこの2倍または3倍かかる可能性がある事を覚えておきましょう。

7. スケジュールが予定通りに動かない事も

一通りスケジュールを組んでも、ロケーションやキャストの事情によって予定されてた日の撮影が出来なかったり、撮影時のトラブルで撮影時間が延びてしまう事もあります。

「せっかく作ったスケジュールなのに・・・」と思ってしまいますが、プロダクションではこのようなトラブルも良く起きるので、臨機応変に対応できるようにしましょう。

運がよければ予定より早く撮影完了する事もあります。その場合も、どのように調整するかはプロデューサーの腕次第です。

全体的なスケジュールが完了したら、撮影日当日に必要なものや詳細スケジュールを記した香盤表を作成すると良いでしょう!

香盤表については「プロダクションをスムーズに動かすために必要な香盤表(Daily Call Sheet)ってなんだ?」の記事で詳しく紹介しているので、気になる方は合わせて読んでみてください。

(MIKIO)

Photos: Jakob Owens,Glenn Carstens-Peters,KAL VISUALS,Hunter Moranville, Eric Rothermel,Jessica Lewis,

MIKIO

小学生から映像制作に興味を持ち、15歳の頃に部活のメンバーと自主映画を制作。後にフィリピン、セブ島に移って現地や海外の企業向けにTVCM、VPといったコマーシャル制作を提供。現在は帰国し、福岡で映像制作などをしています。主に撮影や編集を得意ですが、案件によってはディレクターやプロデューサー行うこともあります。

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