プリプロダクション映像ハック

プロダクションスケジュールってどう決める?撮影前にあると便利なスクリプト・ブレイクダウン(Script Breakdown)とは?

一見簡単なように見える映像制作ですが、プロジェクトの規模によってはクルーやタレントを多く必要としたり、1日や2日で撮影が終わらない場合があります。

そのため、よりシームレスなプロダクションになるよう、プリプロダクションではしっかりとスケジュールを組んでいかなくてはなりません。

プロダクションのスケジュールの組み方やフォーマットについては所属する制作会社や国によって変わってきますが、基本的に各シーンに登場するタレントや小道具、ロケーションの詳細などが書いていることが多いです。

海外ではデイリー・コールシート、日本では香盤表と呼ばれるスケジュールは撮影日の詳細スケジュールが記載されており、その日の進行をスムーズに動かせる重要なツール。

脚本が完成したらすぐに香盤表に取り掛かろう!と思うところですが、数十ページ、数百ページもある長編映画の脚本だったり、シーンや撮影に必要なものが多くなると、確認漏れが起きる可能性があります。

また、脚本を読んだだけでスケジュールを組むというのはかなり棒大な時間がかかってしまうため、予め各シーンに必要なものを全て洗い出して、リストにした後でスケジュールを作成するのが理想的です。

脚本をリスト化する理由の一つが、各シーンの登場人物やロケーションの共通点を見つけやすくするため。

シーンに必要なものをリストにしてまとめる事によって、脚本をしっかりと読まずとも各シーンに何が必要なのかが分かるので、スケジュールがとても組みやすくなるメリットがあります。

スクリプト・ブレイクダウン(Script Breakdown)

ハリウッドなど海外のプロダクションでは脚本のリストを作成する作業が一般的になっており、スクリプト・ブレイクダウン(Script Breakdown)という工程がプリプロダクションに存在します。

スクリプトは「脚本」、ブレイクダウンは「内訳」を意味するのですが、先ほど書いたように、スクリーンに映る各シーンの必要なものを一つのシートに全て記載する作業を行います。

スクリプト・ブレイクダウンシートのテンプレートはこのような感じ。

一つの紙に12個程度のマスがあり、カテゴリに合わせてリストアップしていきます。ちなみに、スクリプト・ブレイクダウンに含まれる情報は以下の通り。

  1. (赤)キャスト(Cast) – 登場人物。本名ではなく役名。
  2. (オレンジ)スタント(Stunts) – 危険なスタントが必要な場合、スタントの詳細を記載。
  3. (黄)エキストラ(Extras / Silent) – シーンに映るエキストラ。台詞がある場合でも登場人物でなければ、エキストラとして記載(店員、コックなど)。
  4. (緑)エキストラ・背景(Extras/Atmosphere) – 基本的にセリフの無い大勢のエキストラを指す。(カフェに居るお客さん、歩く人々など)
  5. (青)スペシャルエフェクト(Special Effects) – スプラッターや爆発シーンなど。
  6. (紫)小道具(Props) – シーンに映る小道具。
  7. (ピンク)車・動物(Vehicle/Animals) – シーンに映る全ての車や動物。
  8. (丸線)衣装(Wardrobe) – 登場人物が着る衣装の詳細。
  9. (アスタリスク)ヘアー・メイクアップ(Hair/Makeup) – 特別なメイクアップなどが必要な場合に記載。
  10. (茶)サウンドエフェクト(Sound Effects) – スペシャルエフェクト同様に必要な音を記載(ラジオの音楽など)
  11. (枠線)特殊機材(Special Equipments) – ドリーやクレーン、ドローンなど演出に必要な特殊機材を記載。
  12. (下線)備考(Production Notes) – リストで分かりにくいシーンの詳細やそのほか必要な情報を記載

上の項目に「赤」、「オレンジ」などの色が書いてありますが、これは脚本につけるカラーコードです。

通常、蛍光ペンやボールペンを使って脚本のシーンを一つずつ確認しながら、スクリプト・ブレイクダウンシートに含める項目をマークし、シートに詳細を記入していきます。

1シート、1シーンで作る

スクリプト・ブレイクダウンシートには他にもシート番号、脚本ページ、シーン番号、屋外か室内(INT/EXT)、昼か夜(D/N)、ロケーション名などの情報もあり、必要に応じてシーン名や詳細などを追加することもできます。

基本的に1シート、1シーンで作成する必要があるため、1ページの脚本に3シーンある場合は、3シートになり、全部で120シーンあれば、シートが120枚になってしまうことを覚えておきましょう。

日本のプロダクションでも同じように使える

今回紹介した記事では基本的に英語の脚本を使った海外で使用するツールですが、日本語にして同じように使ってみることも出来ると思います。

この場合紙を多く消費するのと、リストを作成するのに時間が掛かってしまいますが、スケジュール作成以外にも撮影時に何が必要なのかパッと見てわかるので、作っておく事をオススメします。

今回紹介したスクリプト・ブレイクダウンを使用してみたい!という方は英語版に合わせて、少しフォーマットを変更した日本語のものも作成してみました。

下のダウンロードリンクからPDFを入手して、ぜひプロジェクトに活用してみてくださいね!

素材のダウンロード

このチュートリアルで使用した素材やプロジェクトファイルは全て上記ボタンからダウンロード可能です。個人プロジェクトはもちろんのこと、商用利用も無料なのでカスタマイズしてプロジェクトに追加してみてください。(コンテンツの使用について詳しく見る)

 

(MIKIO)

Additional Photos: Stephane YAICH

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こちらの記事はクリエイティブ・コモンズ 4.0 CC-BYライセンスの元公開されています。詳細

MIKIO

小学生から映像制作に興味を持ち、15歳の頃に部活のメンバーと自主映画を制作。後にフィリピン、セブ島に移って現地や海外の企業向けにTVCM、VPといったコマーシャル制作を提供。主に撮影や編集を得意としているほか、ディレクターやプロデューサーなども出来ます。

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