オリジナルのストーリーを自主映画またはインディペンデント映画として制作するのも良いけれど、その場合だと基本的に自分のポケットマネーから作る事になるので、できればハリウッドなどの大きなマーケットで制作してくれたら・・・。なんて夢を持ったことはありませんか?
アメリカなどTVドラマや映画産業が盛んな国では常に新しいストーリーを常に求めており、誰にでもそのチャンスがあったりするものです。
ハリウッドなどの規模の大きいものではなくても、インデペンデント映画やドキュメンタリーなどの映像制作は機材や人件費などかなりお金がかかるため、自己資金で作る際には限界が出てきます。
これらを解決するためにはスポンサーや自分の脚本を形にしてくれる製作会社やプロデューサーを探して売り込む、ピッチ(Pitch)という方法が一般的です。
ピッチ(Pitch)は直訳すると「投げる」という意味で、自分のアイディアを投資家に紹介するセールスピッチ(Sales Pitch)から来ています。
映画製作では基本的に脚本家や監督が自分のストーリーを制作会社のトップやエグゼクティブ・プロデューサーに持ちかけて、相手が興味を持ってくれれば予算を組んでくれて監督が出来たり、脚本を購入してくれることになります。
映画などのマーケットが広い所だと常に新しいコンテンツが必要になってくるので、プロ・アマ関係なく多くの人々がピッチを行っています。アメリカなどでは日本と比べると断然売り込みの出来るチャンスが多いので、試してみるというのも一つの手です。
ピッチはどういうものなの?
映画やテレビ番組、アニメーションなどの分野で主にスポンサーを探すための売り込みのこと。同じ映像を作る業界とはいえ、それぞれピッチの方法が変わってきます。
例えばテレビ番組の場合はテレビのパイロット版脚本を一つ書いて提出したり、アニメーションだと絵コンテまたは動きとサウンドエフェクト(SFX)や音楽を付け足したビデオコンテにしたり、映画の場合は脚本を全て書き終えた後で、あらすじなどを含めた別の紙を用意するなど、分野によって少しずつ変わってきます。
ここで重要なのが、売り込みをする相手は基本的に忙しい方々である事が多いため、限られた時間の中で興味を持ってくれるように話をする必要があります。
映画制作でのピッチ
スタジオなどにピッチをする際、どんなにストーリーが良くてもピッチが上手く出来ていないと、つまらないと思うだけだし、また人前でピッチしない場合は脚本と一緒に添付するあらすじ等が面白く出来ていないと、脚本にも手を出しません。
ピッチは場所を選ばず、スタジオのオフィスでもあれば、カフェやバーなどで行われ、多くの場合5分から10分程度の時間が与えられます。その中でいかに面白く、簡素に興味を持ってくれるようにするのが重要になってきます。
自分の映画をピッチする方法
オリジナルのストーリーを初めて相手に伝える時、相手はあなたのストーリーは一切知りません。120ページする脚本をポンと渡してもその場で全て読み切る時間もないし、面白くなければ相手は前ページ読もうとも思いません。
じゃストーリーを説明すれば良いんじゃないの?と考えますよね、それがピッチそのものになるのですが、「トランジションがフェードインして・・」、「AさんとBさんとCさんの関係は・・」、「クローズアップで・・」のようにショットやキャラクター、演出などの説明が絡んでくると長くなって10分以内じゃ流石に収まらなくなってしまうので、かなりシンプルにする必要があります。
そのためピッチに必要な情報はタイトル(Title)、タグライン(Tagline)またはログライン(Logline)、シノプシス(Synopsis)、連絡先の4つが基本的に揃っていれば大丈夫です。
- タイトル – 作品の題名、脚本に書いてあるものと同じ
- ログライン(あらすじ) – ストーリーを1-2行程度にまとめた簡単なあらすじ
- シノプシス(ストーリー) – ストーリーを数行にまとめたあらすじ
- 連絡先 – メールアドレスや電話番号、住所など
登場人物の概要、スポンサーを探す際は必要な予算、または特定の役者がいる場合や参考になる映画を書いたルックブック(Lookbook)、監督やプロデューサーなどのプロフィール項目を付け足す事もできます。
上記の中で特に重要になってくるものがログラインとシノプシスです。
ログラインでは主に主人公の役割や障害そして目標を用意し、シノプシスでは作品のジャンル、時代背景、三幕構成で起きる出来事そしてエンディングを全て含める必要があります。特に予告編を見ているような美味しい所だけを抜き出してピッチをするとより効果的です。
どこでピッチを行えるの?
基本的にどこでも行なえます!・・・と言いたい所ですが、主にピッチが出来るチャンスはアメリカの場合はネットワーク(コネ)やスタジオへの訪問、会ったことが無いスタジオやプロデューサーにメールを送ってみる、またピッチフェスティバルなどのイベントで行う事が多いです。
ここらへんは日本と事情が変わってきますが、筆者が住んでいるフィリピンではアメリカとほぼ同じです。
また映画スタジオや製作会社ではなく、個人投資家または会社などのスポンサーにアプローチを掛ける時も結果的にピッチを行うことになるので、今回紹介した記事を参考にしてみると良いでしょう。
いかがでしたか?海外で映画の脚本家や監督を目指したいという方は必ず通るプロセスの一つだと思うので、これを機にピッチにチャレンジしてみるというのも良いかもしれませんね!
チャンスは多いとはいえ全てが映画化される事はないので、筆者の周りでも脚本を100本書いて、そのうち3本は興味を持ってくれて、1本は1映画化されたという方がいました。でもめげずにいっぱい書いて色々な所に提出していけば、新しいコネクションを作れたり、スタジオに買ってくれるという事もあるので試してみる価値はあると思います。
また別の機会にて、ピッチをより面白く出来る方法を紹介していきたいと思うので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
(MIKIO)
Photos:Tim Gouw,rawpixel.com,Antenna,Chris Murray,Yun Heng Lin,Avel Chuklanov,Seemi Samuel,