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トランジションってなんだ?映画やコマーシャルなどで多く使われる、5つのトランジション

カメラや編集アプリが時代の流れと共に良くなってきていますが、物語の表現方法や使用されるテクニックはフィルムカメラが登場した1900年代から変わっていません。

編集の技術もその一つで、3D CGIやVFXなど最新技術は使われているものの、トランジションやクレジット、サウンドデザインといった様々なテクニックは今でも使われるものばかりです。

今回の記事ではそんな昔からあるトランジション(Transition)について話していこうと思います。日本語では場面転換、切替効果などとも言われるのですが、意外と誰にでも分かるように見えて、奥が深いツールになっているという事はご存知だったでしょうか?

同じ2つのシーンを切り替える場合、使うトランジションによっては演出やイメージの捉え方が変わってきます。たったの数フレーム、数秒にシンプルなエフェクトを加えるだけで、ストーリーや印象そのものも変える事が出来る強力なツールになるのです。

トランジションの歴史

フィルムカメラが登場した1890年代初期では撮影されたものをそのまま上映する、いわゆる撮って出しが主流でした。

しかし、フィルムカメラが物語を作ることが出来る映画のツールとして認識されるようになると、一つのカメラアングルから複数のカメラアングルを組み合わせる様になり、1900年初期から複数のフィルムを組み合わせる「編集」が出来上がりました。

それまではフィルムをつなぎ合わせるだけの「カット」が主流でしたが、後にジョルジュ・メリエスがクロスディゾルブを使用するようになり、フェードイン・フェードアウトやワイプといったトランジションが数多くの作品に使用されるようになりました。

現在ではフィルムではなく、デジタルシネマカメラや一眼レフといったデジタル化が主流になっているので、フィルムを物理的につなぎ合わせる必要性もなくなりましたが、ハリウッド映画からテレビコマーシャルまで数多くの映像作品には昔から変わらないトランジションが使われています。

トランジションの種類

映画などで使われるトランジションの種類が色々あります。しかし、実はどれも似たものが多く、いくつかにカテゴライズすることが出来ます。

カット(Cut、Cutaway)

一番主流でどの映像作品にも「絶対」と言えるほど使われており、複数のクリップをトリムしてくっつけただけのシンプルなトランジションです。

夕方に男女が海岸のベンチに座って話すシーンがあるとすれば、「海岸→話す男性→頷く女性→正面から二人のショット」のように各ショットをカット入れる、一つのシーン内で終わらせる事や「頷く女性→正面二人のショット→満月→ベッドでスマホを見る女性」のようにカットで場面転換を行うことも出来ます。

癖がなくシンプルな上にサッと内容に入りやすいため、一番汎用性の高いトランジションだと言えます。ちなみに英語では「Cut」の他に、「Cutaways(カットアウェイ)」とも呼びます。

Lカット/Jカット(L Cut/ J Cut)

通常のカットは映像と音声が同じタイミングでカットされますが、LカットやJカットは音声または映像を先に出し、次の映像に重ねるようにするものです。下記動画はLカットの例。

AとBの2種類の映像がある場合、LカットはAの映像と音声が流れた後、Bの映像が切り替わりAの音声はそのまま伸ばすというもの。

Jカットはその逆で、Aの映像と音声が流れた後、途中でBの音声が入りAの映像はそのまま伸ばします。

LとJの名称はタイムライン上で2つの映像を見た時に、トリムの仕方がそれぞれ「J」や「L」に見える事から、この様な名前になっています。

ディゾルブ(Dissolve)

2つの映像が数フレームから数秒にかけて、それぞれの映像が重なりながら、切り替わるトランジション。クロスディゾルブ(Cross Dissolve)とも言われており、こちらも良く見かけられる演出の一つです。

クロスディゾルブのメリットは「時間の流れ」や「キャラクターの回想や思考」などを表現できるということ。

例えば、「お互いが知らない男女がバーで出会う」シーンがあるとして、長いセリフで演出するよりかは徐々に仲良くなっていく様子を複数の映像をクロスディゾルブを使いながら、つなぎ合わせる事で、時間の経過と共に演出できます。

またフラッシュバックや連想シーンなどをクロスディゾルブで表現する事で、あたかもキャラクターの頭の中にいるかのような演出を作りだす事が可能になります。

フェードイン・アウト(Fade in / Fade Out)

こちらはディゾルブと似たようなトランジション。

フェードイン・フェードアウトは主に黒または白の背景からフェードイン、もしくはその逆のフェードアウトをするもので、物語のオープニングやエンディングのほか、シーンの切り替わりに多く利用されています。別名、クロスフェード(Crossfade)とも呼ばれています。

黒色にフェードする場合はブラックアウト(Fade to Black)、また白色の場合はホワイトアウト(Fade to White)とも言われます。

ディゾルブのように時間の流れなどを演出できるほか、映像や編集によってはよりドラマチックに感じさせる事ができます。

しかし、癖のあるトランジションになるので、フェード&ディゾルブ系のトランジションは使い方を間違えると、煩わしく感じさせる場合があり注意が必要です。

ワイプ(Wipe)

サイレント映画時代などでは良く使われていたトランジションの一つ。ワイプは次に来る映像が上下左右からスライドしたり、中央または外側から円形のシェイプに合わせて画面が切り替わるというもの。

演出が少し古臭く感じられるため、現代では実写の作品よりもモーショングラフィックスに使われる事が多くなりましたが、内容によっては実写にマッチするトランジションになるかもしれません。

左右上下から映像が入ってくるワイプを「リニアワイプ(Linear Wipe)」、日本語では「押し出し」または「スライド」、円形のものは絞りの羽根をイメージしていることから、「アイリスワイプ(Iris Wipe)」と呼ばれます。

アイリスワイプを上手く使われている、近年の作品の一つがスター・ウォーズシリーズ。SF作品で使用している事によって、エピソード4が登場した時は古臭さと真新しさが出ているものになっていました。

 

トランジションはこの他にもズームを使用したものや、マッチカット、回転など様々なものもありますが、今回紹介した5種類のものは編集で一番良く使うものになると思います。作品やシーンによって上手く使い分けたり、上にあるトランジションにもう一工夫加えてみたりすると良いかもしれません。

ちなみにこれらのトランジションは編集アプリによってはトランジションエフェクトを追加する事で実装できたり、不透明度やマスク、位置などのプロパティとキーフレームを使用して、マニュアルでも実装できるので、色々いじってみましょう!

 

(MIKIO)

Additional Photos:  Noom Peerapong,classic_film

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こちらの記事はクリエイティブ・コモンズ 4.0 CC-BYライセンスの元公開されています。詳細

MIKIO

小学生から映像制作に興味を持ち、15歳の頃に部活のメンバーと自主映画を制作。後にフィリピン、セブ島に移って現地や海外の企業向けにTVCM、VPといったコマーシャル制作を提供。主に撮影や編集を得意としているほか、ディレクターやプロデューサーなども出来ます。

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