映像をスムーズに撮影したい場合はDJI Ronin-Sなどのジンバルスタビライザーを使うのがベストです。
STEDICAMといったこれまでのスタビライザーは大掛かりなセットアップと機材が高価であったため、敷居の高い機材ではありましたが、DJIやZhiyun、Mozaといった様々なメーカーからモーター駆動のジンバルが登場したことで、一人など小規模なプロダクションでも簡単にスタビライザーを導入することが出来るようになりました。
スタビライザーのドローンのような安定した映像を見ると、ジンバルを使ってみたい!と考える人も多いと思います。
DJIなどのメーカーではアプリとの連携やモーターの回転を自動で調整する機能などがあるので、ここ数年のアップデートにより大分オペレーションが楽になったものの、カメラをジンバルに取り付けてバランスを確保する作業はどのジンバルにも必要になります。
初めてジンバルを使う方はこのバランス調整が初期セットアップの中で一番難しい部分で、筆者も2018年にRonin-Sを購入した時はカメラのバランスを取るのに30分程度時間をかけてしまいました。
ジンバルによっては自動で調整してくれるものもありますが、レンズやカメラの重量によってはパンやチルト軸のモーターに大きな負荷をかけてしまうため、可能な限りカメラのバランスを取ってからジンバルの電源をオンにすることをオススメします。
今回の記事では2020年にDJI Ronin-SCのアップデートとして登場した、DJI RSC2のバランス調整の方法をご紹介します。DJI RS2でも基本的に手順は同じなので、Ronin-Sシリーズのジンバルを持っている方は下の方法でも調整可能です。
カメラのセットアップ
まず、カメラにバッテリーやSDカード、その他必要なアクセサリーを装着しておきます。バリアングルモニターのカメラについてはジンバルに取り付ける前にモニターの角度などを設定しておくことをオススメします。
クイックリリースプレートを取り出し、上部のプレートを外してDリングのスクリューを装着後、カメラに上部プレートをしっかりと取り付けましょう。
カメラを取り付けた上部プレートを下部のクイックリリースプレートに装着し、外れないようにロックします。
ジンバルに装着する前に、パンとチルト、ロールの軸がロックしてあるとよりバランス調整が楽になるので、装着前にロックしておくことをオススメします。
カメラをジンバルに装着します。この時、カメラがチルト軸に触れてしまう可能性があるので、予めカメラのサイズに合うように下の部分を調整し、チルト軸とカメラに十分なスペースを確保しておきましょう。
バランス調整
DJI Ronin-Sを含むジンバルスタビライザーは調整する項目が多いのでどこから始めれば良いのか迷ってしまいますが、チルト軸、プレート、ロール軸、パンの順番でバランス調整を行えば大抵の場合上手くバランス調整が行えます。
カメラのバランスを行う前に撮影時に必要なアクセサリーが全て装着されていることを確認し、テーブルなど水平なところで調整を行います。バランス調整後にレンズを交換したり、マイクなどを装着すると重心がズレてしまうので、その都度調整する必要があるので注意しましょう。
1. チルト軸
チルト軸のロックを解除すると写真のように前方または後方にカメラが向くはずです。上の写真ではレンズがカメラより重いので、レンズが下を向いています。
レンズを上にした状態でチルト軸のつまみを回して位置を調整できる状態にします。カメラが前後に倒れなくなるまで、重心の調整を行いましょう。上の写真のように手を話した状態でもカメラが上を向いていたら、チルト軸の調整が完了します。
チルト軸のロックを行い、次にプレートの調整に移りましょう。
2. プレート
カメラを水平の状態にし、カメラが前また後ろ方向に倒れる場合はプレートを動かして重心の調整を行います。
ピタッとバランスが取れるようになったらプレートのロックを行い、チルト軸のロックを外してカメラを上下に動かしてみてください。もしカメラが動かなければプレート部分のバランス調整は完了します。再度チルト軸のロックを行い、ロール軸の調整に移りましょう。
3. ロール軸
ロール軸のロックを外して、つまみを回して調整できる状態にします。チルト軸と同じ様にカメラが水平をキープできるまで左右にスライドして重心の調整を行います。右側に倒れる場合は左側にスライドします。
カメラのバランスが取れるようになればロール部分を動かしても、カメラは写真のように状態をキープするはずです。この様になればロール軸の調整が完了します。ロール軸をロックし、最後のパン軸の調整へ移りましょう。
4. パン軸
ジンバルを持って前方に少し倒した状態にします。パン軸が左右どちらかに回転してしまう場合は調整が必要です。つまみを回して、スライドしながら調整しましょう。
前方左右に動かしても動かなければ、全ての軸のバランス調整が完了します。
電源オンとアプリ側の設定
パン、ロール、チルト軸のロックを全て解除し、グリップにある電源ボタンを長押ししてDJI RSC2を起動します。
スマートフォンにインストールしたDJI Roninアプリを起動し、「バランステスト」をタップします。
ジンバルを手持ちまたは水平なところに配置して、斜め15度にした後で「テスト開始」をタップしましょう。「現在の傾斜角度」の部分に角度が表示されるので、それを参考にしてください。
バランステストの結果が「非常に良い」と出ればパン、ロール、チルト、のバランスは問題ありません。「良い」と出る場合でも大丈夫ですが、「調整が必要」の場合は再調整を行いましょう。
最後にカメラに合わせた微調整を行う「オートチューン」を適用させます。Roninアプリから「モーターパラメーター」をタップします。
チルト、ロールとパン軸のロックが解除し、テーブルなど水平な場所に配置した後で「オートチューン」をタップしましょう。
ジンバルのモーターが作動し、自動で微調整が開始します。オートチューンが完了すればジンバルが使える状態になります。必要に応じて細かな設定などを行うと良いでしょう!
最初は慣れないこのジンバルのバランス調整ですが、一度慣れてしまえば違うレンズやカメラを使っても簡単に調整ができるようになると思います。ぜひ、DJI RSC2やRS2のバランス調整をマスターしてみてください!
(MIKIO)