ポストプロダクション・編集映像ハック

[Premiere Pro] CC 2018に新搭載されたカラーマッチ機能を使って、色を合わせる方法

NAB 2018のオープンに合わせてAdobe Creative Cloudのアプリケーションのバージョンアップが行われました。

主にPremiere ProAfter Effects、Auditionのマイナーアップデートになっており、After Effectsではパペットツールの強化やモーショングラフィックスの連携、Premiere Proではインタビューの音声を自動的に認識して、BGMなどの音量を自動で調整してくれる自動ダッキング(Auto Ducking)機能など、映像制作をメインにしている方からしたら嬉しいアップデートばかりです。

Premiere Proを多く使う筆者として、嬉しい機能がカラーマッチ(Color Matching)です。

色補正でおなじみのLumetriカラーの中に追加されたもので、対象となる映像の色を認識し、それに近い色を自動で適用してくれるものです。Adobeが生み出した人工知能(AI)、Adobe Senseiによるテクノロジーです。

撮影を行っていると太陽に雲がかかって明るさが変わったり、屋内から室外に移ったり、複数のカメラを使うことでショットごとに色が少しずつ変わってくる場合があるため、統一感が出るようにカラーマッチの作業が必要になってきます。

Final Cut Pro Xでは前から搭載されていた機能なので、それほど新しくはないものの、Premiere Proでは標準搭載されておらず、サードパーティープラグインを導入するか、マニュアルで3ウェイカラー補正などを使用してマッチングする必要がありました。

しかし、今回のPremiere Pro CC 2018(12.1)のアップデートによって標準搭載されるようになったことで、とても簡単になりました。

今回キュリオシーンではそんなPremiere Proのカラーマッチを使用した便利な方法を紹介したいと思います。

カラーマッチの使用

まずAdobe Premiere Proが2018年4月のアップデートであるバージョン12.1になっていることを確認します。なっていない場合はCreative Cloudアプリからアップデートを実行します。

Premiere Proを開いて、ワークスペースを「カラー」にしましょう。

すると右側にLumetriカラーのタブが現れるので、一覧にある所から「カラーホイールとカラーマッチ(Color Wheel & Match)」を選択します。

カラーホイールとカラーマッチでは「比較表示(Comparison View)」と「顔検出(Face Detection)」「一致を適用(Apply Match)」の3項目しか用意しておらず、基本的にこの3つだけで操作することになります。

比較表示ではタイムライン上にある参考にしたいフレーム(リファレンスフレーム)マッチングを適用させるフッテージ(現在のフレーム)の比較が表示されます。

デフォルトでは2つの全画面表示表示になっていますが、その下にある3つのアイコンをクリックすることで、1つの画面を使用しながら交互に色を縦または横にスライドしながら確認することが出来るようになります。

このスライダードラッグする事で小さい画面でも比較が出来るので便利です。比較映像がわかりやすいように、現在のフレームの色を変更してみました。

また、左側にある「ショットまたはフレームの比較」の切り替えボタンがありますが、「ショットの比較」前述したリファレンスフレームと現在のフレームを比較する方法で、「フレームの比較」は選択中のフッテージのビフォーアフターを確認することが出来ます。

ただフレームの比較では別のフッテージを選ぶとビフォーアフターが初期化されてしまうのと、少しわかりにくい機能なので、基本的に「リファレンスフレーム」と「現在のフレーム」と書かれているショットの比較を利用するのが良いと思います。

リファレンスフレームのすぐ下にある左右の矢印とタイムコードは現在選択中のタイムラインのものです。比較モードによって位置が若干変わってきます。

スライダーを動かしたり、左右にある矢印をクリックすることで、その次またはその前にあるクリップの最初のフレームが表示されます。上手く動かない場合や特定のフレームがある場合は、タイムコードに直接数値を入力すると良いでしょう。

顔検出はデフォルトでチェックがついていますが、これはリファレンスフレームまたは現在のフレームのスキントーンの一致をより向上させるためのもの。顔が写っていないショットにこのオプションが付いたままでも問題なくカラーマッチが出来ましたが、うまくいかない場合はオフにしてみると良いでしょう。

最後の「一致を適用」では左側にあるリファレンスフレームを参考にして、それに近い色を現在選択中のフッテージに適用させるボタンです。

LUTなどを適用させる前にカラーマッチを行う

通常の場合、LUTなどの大掛かりな色補正(カラコレ)を行う前に、タイムライン上にあるフッテージの明るさとホワイトバランスをシーンやロケーションごとに統一させる必要があります。

その理由はいくらトーンが似ていても明るさが違うと、ショットが変わる時にその変化がハッキリと出てしまうため。少し暗い映像が突然明るくなって、また暗くなるという感じはあまり良くないので、色補正の最初の段階として明るさを調整していきましょう。

地道に人の手で調整してくのは気が遠くなるので、ここでカラーマッチ機能が活躍します。

筆者が用意したのはこの2つの映像。ロケーションやカメラの設定はほぼ同じなのですが、空にかかる雲によって明るさや色が微妙に変化があったので、カラーマッチの機能を使用して統一させていきます。

リファレンスフレームを選択して、カラーマッチを適用させたいフッテージを選択し「現在のフレーム」に表示させ、「一致を適用」をクリックします。

すると極端に明るかった右側の現在のフレームが、左にあるリファレンスフレームにトーンが近くなってきました。

しかしこのままだとまだ細かい色補正を行えないので、「基本補正」内にある「露光量」、「ハイライト」、「白レベル」を使って、スライダーの線が目立たないくらいに微調整していけば大丈夫です。

全てのフッテージの明るさを統一させた後は新規追加で「調整レイヤー」をタイムラインに追加し、Lumetriカラーの「クリエイティブ」項目内にあるLUT、コントラストやカーブなどを変更していけば、統一感のある色補正を1回で行うことが出来ます。

映画のワンシーンを参考にしてカラーマッチを適用する

スターウォーズ、タイタニック、ダンケルクなどの有名なハリウッド映画の色を自分の作品に適用してみたい!なんて思ったことはありますか?

それまではLUTやサードパーティーのプラグインを使用する方法がほとんどでしたが、Premiere Proのカラーマッチを使う事で、参考にしたい映画の1コマさえ用意できればそれに近いトーンにすることが出来ます。

今回筆者が用意したフレームはウェス・アンダーソン監督のグランド・ブダペスト・ホテル(The Grand Budapest Hotel)とスティーヴン・スピルバーグ監督によるプライベート・ライアン(The Private Ryan)のフレーム。

この画像は両方JPEGですが、この画像ファイルをPremiere Proに素材として読み込み、タイムラインに追加します。

レターボックスなどの黒い帯または空白があっては上手く認識できない場合があるので、画像が小さい場合は画面いっぱい埋まるようにサイズの変更をします。

後は適用させたいフッテージを開いて「一致を適用」をクリックするだけで完了です。参考までにグランド・ブダペスト・ホテルのリザルトはこのような感じ。リファレンスフレームと同じようにピンクがかったトーンになりました。

プライベート・ライアンはこのような感じに。

まだ明るめの青色になっていますが、カーブやコントラストなどを微調整していく事でそれっぽくなりました。

Premiere Proによるカラーマッチは完璧に色をマッチング出来ない事も多いですが、リファレンスフレームに近いものに補正してくれるので、かなり便利なものになっています。

カラーマッチを行った後は微調整を行う必要はあるものの、色補正のワークフローがとても楽になるので、いっぱい活用してみると良いでしょう!

 

(MIKIO)

 

タグ

こちらの記事はクリエイティブ・コモンズ 4.0 CC-BYライセンスの元公開されています。詳細

MIKIO

小学生の頃に映画製作に興味を持ち始め、中学生の時に部活のメンバーと自主映画を初めて制作。その後フィリピンに留学し、映画専門学校を卒業後、撮影や編集などのフリーランサーを経て、マルチメディア制作会社DreamLine Productionsを立ち上げる。 自分も持っている知識のほか、勉強やメモ代わりに制作などのチュートリアルを投稿していきます。

関連記事

Close
Close